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ご報告&鉄道レポート(6) 千葉県側の通勤ラッシュ改善の歴史

鉄道班の紹介動画を作成しました。鉄道模型コンテストの公式チャンネルからYouTubeにアップロードされるそうですので、ぜひご覧下さい。

また、一部の記事について、ページ分けを行いました。2000文字を超えている記事などは、記事の一覧をスクロールする際に邪魔になっていると考えたためです。これで多少見やすくなったかと思います。

さて、今週も鉄道レポートを更新します。今回のものも発表で使用したもので、千葉方面の通勤ラッシュについて詳しく書いたものです。

1.2019年度の混雑率

現在、東京から千葉方面に向かう路線には、JR総武本線、JR京葉線都営地下鉄新宿線東京メトロ東西線京成本線北総線などがあります。(常磐線もありますが、あくまでも茨城県方面へのびる路線なので除外します。)さて、2020年度の混雑率の話は前回の記事で書きましたが、まだ新型感染症が蔓延する前、2019年度の混雑率はどれくらいだったのでしょう。結果はこちらになります。

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総武線 各駅停車(錦糸町→両国) 196%

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総武線 快速(新小岩錦糸町) 181%

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都営新宿線(西大島→住吉) 156%

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東京メトロ東西線(木場→門前仲町) 199%

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京成本線(大神宮下→京成船橋) 130%

北総線(新柴又→京成高砂) 91%

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京葉線葛西臨海公園→新木場) 166%

*参考までに、京成本線北総線が直通している京成押上線の混雑率は、京成曳舟→押上間の149%、都営浅草線の混雑率は本所吾妻橋→浅草間の133%でした。

数値を見れば、混雑率の高い路線が並んでいるのは一目瞭然です。一体なぜこのようになってしまったのでしょうか。

 

2.混雑の元凶は何か

ここまでの混雑になったおおもとの原因は、総武線の沿線人口の多さにあります。総武線沿線では、どんどん人口が増加していました。混雑はひどいもので、250%越超えという現在では想像もつかないほどの混雑率でした。さすがに改善を急ぐ必要があったため、バイパスとなる路線が建設されることになりました。これが東京メトロ東西線です。また、千葉ニュータウン方面への路線として建設されていた都営新宿線も、混雑緩和に役立ちました。

しかしながら、東西線東葉高速鉄道との直通運転を開始し、八千代市方面の乗客を乗せるようになったほか、大手町や日本橋へ直結している利点ゆえに、総武線の乗客も奪いました。また、開業当初は何もなかった現在の江戸川区南部や浦安市なども急速に発展し、どんどん乗客が増えていきました。その結果、東西線は日本一の混雑を記録するほどの路線になってしまったのです。

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2019年の東西線 朝ラッシュ時の東陽町駅の様子

3.混雑率の変化

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総武線の各駅停車・快速・東京メトロ東西線の混雑率の変遷(総武線各駅停車の1960年のデータはなかったため、1955年のものを使用)(Power Pointで作成)

このグラフを見ると、たしかに混雑は緩和されているといえます。2020年度のデータを入れると、グラフの右側は一気に下がる形のグラフになると思われます。やはり急激な生活様式の変化が与えた影響は大きく、2019年度まで時間をかけて行われてきた分と同じくらいの混雑の緩和が、わずか1年で達成されたことになります。

4.今後の展望

前回の記事でも書きましたが、現在一時的に混雑が緩和されているだけという可能性は十分にあると思いますので、今後の混雑率の変化については十分注視していく必要があると思います。しかしながら、人口の減少により混雑が減少していく可能性はあると思われます。

また、今後の混雑緩和の方針の一つに、京成線の利用を促すという方法があると思います。京成線は、都心のターミナルが上野というあまり利便性のよくない場所にあり、都営浅草線に直通こそしているものの、遠回りとなっているため、総武線と京成線が両方選択できる場合は、総武線を利用している場合が多いと思われます。また、京成線しか走っていない地域であっても、途中駅で乗り換えている場合があり、そのために最混雑区間京成船橋までとなっていることが予想できます。そのため、そのようにしている乗客に京成線の利用を促すことで混雑の緩和が狙える可能性があります。

 

今回の更新は以上となります。質問・感想・意見などございましたらコメント欄にお寄せください。