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小石川中等教育学校物理研究会鉄道班の公式ブログです。

最近の活動(2021年7月)&鉄道レポート(4) 地方都市に見られるラッシュについて

また1か月程度更新ができず、すみませんでした。

最近の活動としては、全員で模型コンテストに必要なものを買い出しに行きました。それ以外は基本的に模型コンテストに向けた模型の製作です。もう1か月しかないため、夏休みもなるべく活動して、一気に完成に近付けます。また緊急事態宣言が発令され、本来であれば部活もできなくなるところですが、さすがに残り1か月なので、どんどん模型製作を進めていきたいと思います。

旅行の方もゴールデンウイークに計画をして以来、ずっとお預け状態なので、そろそろ行きたいところですが、こういう状況なのでさすがに行けません。結局1学期はほとんどの期間において蔓延防止等重点措置または緊急事態宣言が出ていた状況なので(しかもその大半は緊急事態宣言)、旅行を自粛しなければならない状況となってしまったのが非常に残念です。9月の創作展後は旅行に行けることを願います。

さて、今回は久しぶりの鉄道レポート更新です。このレポートは、鉄道班内で発表を行った際に使われたものです。

目次

1.ラッシュとは

一般的にラッシュと言うと、都市へ向かうまたは都市から帰宅する人々の混雑が集中する時間帯を言います。朝ラッシュ時の新宿駅などの様子は、地理の資料集でもおなじみかと思います。列車や道路は大変混雑し、朝ラッシュ時間帯は特に乗車率の高い路線があります。

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東京メトロ東西線 朝ラッシュ時の木場駅の様子(人の顔を隠すため、加工を施しております)

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西武池袋線 朝ラッシュ時の練馬駅の様子 (人の顔を隠すため、加工を施しております)

さて、ラッシュが発生しているのは東京・大阪・名古屋の3都市や政令指定都市のみだと思っていませんか。

実はそうではなく、それ以外にもラッシュが発生している地域はたくさんあります。

そもそもラッシュとは、都市と周辺のニュータウンや住宅地があって発生するものです。これさえ満たせばラッシュは発生するため、ちょっとした地方都市であってもラッシュは発生します。たとえば各道府県の県庁所在地周辺やそれ以外の小さな都市でもラッシュは発生するのです。以下、そのような都市を、「地方都市」と呼ぶことにします。

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帰宅ラッシュ時間帯の沼津駅

地方都市でのラッシュは、発生する場所がわかりにくいほか、客層としても学生が多くなるという特徴があります。

 

2.なぜ地方都市でラッシュが発生するのか

ここからは、なぜ地方都市でラッシュが発生するのかを見ていこうと思います。

1.輸送力の貧弱さ

ラッシュが発生する要因の一つとして挙げられるのが、輸送力の貧弱さです。

まず、地方都市周辺の列車のダイヤは、基本的に貧弱になりがちです。大都市の路線であれば、2,3分で1本来るという路線も多くありますが、地方都市ではそうもいきません。たとえば、JR東海三島駅では、都市である沼津に向かう列車が8時台では3本しかありません。(7時台はもう少し多い)列車本数が少ないと、それぞれの列車に多くの乗客が乗り込み、混雑するというのは明らかです。

また、地方都市では、列車の連結両数が少ない路線も多くあります。たとえば、茨城県水戸駅に乗り入れる鹿島臨海鉄道大洗鹿島線は、1両ないし2両での運転です。

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鹿島臨海鉄道大洗鹿島線の車両

こうした要因により、ラッシュが発生しているのは事実でしょう。しかしながら、少し連結両数を増やす、少し本数を増やすというだけで、大幅な混雑緩和につながる可能性もあります。

しかし、本数を増やそうとしても単線しかないので増発は無理、日中は需要がないし増結はしたくない、仮にするとしてもこれ以上車両を増備することはできない、という場合もあります。

2.客層ゆえの問題

今この記事を読んでいる方には、社会人だという人も、学生だという人もいると思います。絶対に混雑した列車に乗りたくないというとき、皆さんはどうしますか。

社会人の方であれば、ライナーなどの列車があればそれを利用する、空いている列車を利用することもできますし、場合によっては車や自転車を使ったり、会社によっては遅めのオフピーク通勤やテレワークを実施したりもできると思います。

さて、学生の方の場合はどうでしょうか。ライナー列車などの利用はお金がかかります。車は免許がないのでもちろん使えませんし、自宅で学習したり、遅めに登校したりすることも基本的にはできません。つまり、学生の場合はラッシュ時間帯に乗らざるを得ないのです。そのため、学生が多く乗車し、ラッシュが形成されるのです。学生にとって列車がどれほど大切かという点については、過去に学生一人のために駅が残っていた事例を見ればすぐにわかると思います。

3.車両が観光路線仕様

沿線に有名な観光地や車窓風景がある場合、列車内の座席としては、窓に対して直角であるボックスシートや転換クロスシートが使用されることが多いです。

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ボックスシートの例(JR東日本E531系)

これらの座席は、通路が狭くなってしまうため、混雑には適していません。過去にはラッシュ対策のためにロングシートに切り替えた路線もありますが、観光客にとって残念な印象を与えてしまうのは否定できないと思います。

3.なぜ地方都市でのラッシュは注目されないのか

ここまで、地方都市でラッシュが発生する理由を述べてきましたが、地方都市でのラッシュはそれほど注目されていないように思います。それはなぜでしょうか。

まず、そもそも地方都市での混雑を気にすること自体が少ないように思います。国土交通省は、毎年列車の混雑率を発表していますが、東京、大阪、名古屋の周辺だけであり、地方都市のラッシュに関しては統計が出ていません。全国の混雑率を計測するのはあまりにも現実的ではないというのが理由の一つではないかと思いますが、そもそも気にしていないというのも理由の一つだと思います。

また、一般の人の中ではこのことを知っている人が少ない印象です。大都市のラッシュが何かと注目を集め、実際に大都市のみの問題ととらえられているように思います。

4.地方都市での朝ラッシュの解消に向けて

地方都市でのラッシュの解消に向けてまず大切なことは、問題の所在を知ることだと思います。まずは社会全体として問題を認識することが必要です。

また、鉄道会社としては、できるのならば増発や増結を行うとよいと思います。特に、潤沢な設備をもっている路線であれば、それを有効活用することでラッシュの解消に向かうと考えられます。

乗客一人一人としてできることは、空いている車両や列車を利用することです。また、そもそも会社に出勤しない「テレワーク」という方法もあります。

 

今回の更新は以上となります。気になった点などございましたらコメントをお寄せください。