鉄道レポート（２） 東武鉄道浅草駅～ターミナル駅の問題点～
１．東武鉄道・浅草駅について
東武鉄道は、近鉄に次ぐ広大な路線網をもつ大手私鉄で、主に伊勢崎線系統と東上線系統に分かれます。浅草駅は、伊勢崎線系統の始発駅で、東京都台東区に位置しています。東武鉄道、東京メトロ銀座線、都営浅草線の駅で、東武鉄道の駅は１９３１年に開業しています。開業当時は浅草雷門駅で、後に浅草駅に変更されました。日中は北千住行きと竹ノ塚行きの普通と長距離の特急が発車していますが、ラッシュ時は、一般列車も館林行き、南栗橋行きなどの比較的長距離の列車となります。一日の乗降客数は４７７５４人（２０１８年）です。
ここでは、浅草駅が抱える問題について考えます。
２．浅草駅の問題（１） 駅の場所
この浅草駅は、東武で来た場合は、バスか地下鉄しか他の場所へ抜ける方法がありません。鉄道に限定すると、地下鉄を使わないと脱出できないということになります。さらに、地下鉄というのは都営浅草線と東京メトロ銀座線であり、副都心方面に抜けるには不便であると言わざるを得ません。特に、都心への通勤者がここでの乗り換えを強いられるというのは、東武からするとよくないことでしょう。
このような状態であるため、結局多くの人が北千住で東京メトロ日比谷線や千代田線に乗り換えてしまいます。また、半蔵門線へ直通していく人も一定数はいます。そのため、乗降客数は、北千住はおろか、住宅地の草加、西新井、さらには普通しか停車しない竹ノ塚にすら負けている状況です。
３．浅草駅の問題点（２） 運用上の問題
この浅草駅は、列車の運行においてもネックとなる点を抱えています。
１．駅のカーブ
東武鉄道の線路は、隅田川に対して平行な位置にあります。そして、その川を駅を出てすぐに隅田川を渡ります。そのため、かなりの急カーブの上に駅があります。実際は、駅の配線も関係してくるので、場所によってはかなりの急カーブになります。これにより、浅草駅近くでは、なかなかスピードが出ません。また、ホームも狭く、１，２番のりばの北千住寄り２両分は、ドアカット扱いで、特急ホームでは渡し板がかけられている状態です。
２．８両までしか入れない
この駅は、ポイントなどの都合で、８両までしか入線できません。さらに、８両が入れるのは１番線のみで、実質６両しか入れないような状態です。そのため、本数も思うように増やせない状態です。浅草発着の列車はそれほど混雑は酷くはないですが、北千住駅は非常に混雑していて危ないので、もう少し本数があればよいのではないかと思います。（２０１９年の時点での情報です。）
３．ホームの延伸はほぼ不可能である
現在、浅草駅は８両が入れる限界ですが、この駅はホームがこれ以上延伸できない状態です。理由として、急カーブの存在、ポイントの都合の他、駅が駅ビルに突っ込むような構造になっていることがあります。そのため、ホームを延伸するには、ポイントの移設か駅ビルの改造が必要になります。どちらにしても大規模な工事になることは確実で、また、工事車両が入れるかどうか考える必要があるので、延伸は不可能と言っても過言ではないでしょう。
４．浅草駅の利点
ここまで浅草駅の抱える問題について書いてきましたが、浅草駅は決して問題ばかりというわけではないでしょう。
浅草は、東京都内屈指の観光地であり、そこに郊外からアクセスできることは、大きな利点だと考えられます。特に、東京スカイツリー、日光から直接アクセスできるので、日本全国の観光地を巡るには使いやすいでしょう。
また、東武線から来た場合、東京メトロ銀座線は浅草始発のため、確実に座ることができます。地下鉄で座るのは難しいことも多いので、これはありがたいことでしょう。
５．まとめ
浅草駅は、鉄道のみで考えると、東武線から来た場合、地下鉄に乗らないとどこにも出られませんが、銀座線は始発のため、着席することができます。急カーブにより、運行上の支障ができており、さらに、ホームが延伸できないので、ここが最も大きな問題であるといえます。浅草自体は観光地なので、そこにアクセスできることは強みであります。
